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名古屋も40度近い日が続きますので、みなさんも熱中症にはくれぐれもご注意ください。
さて、本日は「親族による生前の引き出しに関
・・・(続きはこちら) みなさんこんにちは!
名古屋も40度近い日が続きますので、みなさんも熱中症にはくれぐれもご注意ください。
さて、本日は「親族による生前の引き出しに関する争い方」についてお話していこうと思います。
よくある相続でもめる事例として、「被相続人の預貯金口座から、生前、多額のお金が出金されていた」というものがあります。
出金の態様としては、窓口やATMでの引き出し、振込などがあります。
多くの場合、相続人としては、引き出されたお金を特定の相続人が贈与を受けたものとして、特別受益を主張したり、当該出金を親族の誰かが行っていたとして、引き出しを行ったとされる親族に対し、出金した金銭の返還を主張したりすることが考えられます。
まず、生前贈与が疑われるケースの場合、振込であれば、被相続人の口座の履歴を確認することで、誰に振り込まれたかが分かります。
口座の履歴については、基本的に相続人であれば、金融機関で被相続人の履歴の開示を受けることができます。
もっとも、口座の履歴を見ても振込先が記載されていない場合があり、そういった場合は、裁判所や弁護士会からの照会でないと、基本的に金融機関は、振込先の情報を開示してくれないため、注意が必要です。
振込の事実が確認でき、振込先が相続人であった場合は、当該相続人の特別受益(遺産の先渡し)として、遺産分割などにおいて主張することになります。
次に、親族による引き出しが疑われるケースの場合、相続人としては、引き出しを疑われる親族に対し、不法行為や債務不履行に基づく損害賠償請求や不当利得返還請求として、引き出した金額のうち、被相続人にかかった費用を除いた残額について、自己の法定相続分に相当する金額を請求することができます。
たとえば、相続人が長女と長男の場合で、被相続人と同居していた長女が被相続人から通帳やキャッシュカードを預かり、3年間の間にATMにて合計1500万円を引き出していたとします。
被相続人の医療費や介護費、食費相当額が合計500万円だった場合、長男は、長女に対し、長女が引き出した金額1500万円から費用500万円を引いた残額1000万円の2分の1(長男の法定相続分)である500万円を請求することができます。
請求の理由としては、たとえば、「長女は、被相続人から預かった預貯金を適切に管理すべき義務があったにも関わらず、被相続人が長女に預貯金を預けた趣旨(被相続人の通常の生活費に支出してほしいなど)に反して、ほしいままに預貯金を引き出しており、不法な引き出しである」などが考えられます。
なお、これらの請求については、時効があり、それを過ぎてしまうと請求が認められなくなる可能性がありますので、注意が必要です。
このように、生前の引き出しについては、相続人としては、特別受益として主張する方法や損害賠償請求等として返還を求める方法があります。
なお、引き出しが疑われる人が、被相続人の子や孫といった直系血族ではなく、かつ、同居の親族でもない場合(たとえば、引き出しが疑われる人が同居していない兄弟姉妹である場合など)は、窃盗罪や横領罪として、引き出しが疑われる人について、刑事告訴をする方法も考えられますが、刑事告訴することによって、紛争が激化することがあるため、告訴するかどうかは慎重に検討する必要があります。
さて、次回は、「相続税の農地の納税猶予」についてお話しようと思います。
それではまた!