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限定承認~先買権行使の方法

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

 

名古屋も朝晩はめっきり寒くなってきました。

 

コロナだけでなく、インフルエンザも流行っておりますので、みなさんもお体にはお気を付けください。

 

 さて、本日は、「限定承認~先買権行使の方法」について、お話していこうと思います。

 

 まず、先買権とは、簡単にいうと、限定承認をした相続人が、特定の遺産を優先的に取得することを認める制度のことをいいます。


 そもそも、限定承認において、遺産に負債があり、遺産を換金する必要がある場合、換金の方法としては、原則、競売手続きによります。
 もっとも、相続人への配慮から、法律は、例外的に、特定の遺産を競売に優先して、相続人が取得する権利を認めました。


 この権利のことを先買権といい、先買権を使うことを先買権行使と言います。
 なお、先買権行使対象の遺産が不動産で、かつ、抵当権等の担保に取られている場合は、担保権が優先されますので、注意が必要です。
 
 先買権行使を行う場合、まずは、家庭裁判所に鑑定士を選任してもらうために、鑑定士選任申立を行う必要があります。


 申立てを行う際は、申立書を提出する必要があり、申立書には、申立の趣旨(たとえば、「申立人は、別紙物件目録記載の不動産について評価するため、鑑定人の選任を求める。」)のほか、当事者目録、遺産の具体的情報、可能であれば、推薦する鑑定士の情報も記載します。


 また、添付書類として、印紙代(800円)や切手(各裁判所ごとに異なります)の他、不動産の鑑定の場合は、登記事項全部証明書が必要になります。


 これらの書類を集めて、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に書類を提出します。
 

提出しましたら、裁判所が審理し、鑑定士が選任されます。

 

 鑑定士が選任されましたら、実際に鑑定してもらい、費用を鑑定士に納めます。


 その後、限定承認者が鑑定額で遺産を取得する場合(先買権を行使する場合)、鑑定額を現金で支出し、相続財産管理人がいる場合は、その人に現金を渡します。
 相続財産管理人がいない場合は、自身で現金を管理する必要があるため、別に口座を作るか、限定承認用の口座をすでに別で作っておれば、そこに入金します。
 入金ができれば、先買権行使の手続きは終了となります。

 

 このように、先買権を行使する場合は、必ず、裁判所で鑑定士を選任してもらう必要があるなど、手続きが複雑になります。

 

さて、次回は、今回に引き続き、「限定承認~先買権の登記」についてお話していこうと思います。

 

それではまた!
 

限定承認の落とし穴~任意売却

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

名古屋もだいぶ涼しくなってきました。

 

寒暖差が激しい季節ですので、お体には十分お気を付けください。

 

さて、本日は、「限定承認の落とし穴~任意売却」について、お話していこうと思います。

 

まず、限定承認を行う場合、債権者の同意を得ずに任意売却(競売以外の通常の売却)を行うと、債権者から損害賠償請求をされる可能性があります。

 

そもそも、限定承認において、相続財産を換価する場合には、原則として競売による方法で行わなければなりません。

 

これは、競売ではなく、任意売却だと、金額の決定や買主の選定について、限定承認をした相続人(限定承認者)の意思が介入し、場合によっては、売却金額を不当に安くするなどして、債権者を害してしまう可能性があるためです。

 

そのため、公平を期すためにも、原則、競売を行う必要があります。

 

もっとも、一般的に任意売却の方が競売に比べて売却金額が高くなることが多く、売却金額が高くなった方が限定承認者や債権者にとってメリットになることが多いです。

 

そこで実務においては、債権者の同意を得て、任意売却を行う方法がとられることが多いです。

 

ここで気を付ける点としては、任意売却を行う場合は、必ず債権者全員の同意を得た方が良いでしょう。

 

債権者全員の同意を得ずに任意売却し、その後、債権者が損害を被った場合、限定承認者はその責任を負う必要があるためです。

 

債権者が損害を被る場合としては、任意売却した価格が時価よりも低く、それによって債権者が債権額の弁済を受けられなかった場合などがあげられます。

 

なお、任意売却を行ったとしても、限定承認の効力には影響せず、後日、限定承認の効果が取り消されるわけではありません。

 

このように、限定承認の場合でも、実務上は任意売却も行われておりますが、任意売却は、法律に規定されていない手続きのため、実際に行う場合は、専門家と相談しながら進めた方が良いでしょう。

 

さて、次回は、「限定承認~先買権行使の方法」ついて、お話していこうと思います。

 

それではまた!

限定承認の落とし穴〜相続税

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

名古屋もまだまだ暑さが続きますので、みなさんも熱中症には十分、お気を付けください。

 

さて、本日は、前回と関連して、「限定承認の落とし穴〜相続税」についてお話していこうと思います。

 

まず、限定承認を行った場合でも、相続税がかかる場合があります。

 

そもそも相続税については、相続または遺贈によって取得した遺産の額が一定の基準額(基礎控除額)を超えた場合に、発生します。

 

この基礎控除額については、3000万円+法定相続人の人数×600万円で計算されます。

たとえば、相続人が3人いる場合は、3000万円+3×600万円で、基礎控除額は4800万円となり、課税対象の遺産額がこれを超えなければ、相続税は発生しません。

 

限定承認に話を戻しますと、限定承認であっても、プラスの遺産額(土地や建物、預金など)がマイナスの遺産額(借金や負債、準確定申告により発生した所得税等)を超え、かつ、基礎控除額も超える場合、相続税が発生します。

もっとも、限定承認を適用する場合、通常、負債が存在することが多く、基礎控除額を超えることはあまりないため、相続税がかかる場合は、それほど多くは在りません。

また、基礎控除額を超えた場合でも、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減控除等の各種の特例や控除を利用した結果、相続税の納税が不要になる場合もあります。

 

なお、限定承認によるみなし譲渡所得税については、相続債務として遺産から支出することになりますが、相続税の場合は、相続債務には当たりませんので、注意が必要です。

また、相続税の申告・納税は、相続を知ったときから10ヶ月以内ですので、迅速に手続きを行う必要があります。

 

このように、限定承認を行った場合、みなし譲渡所得税がかかる場合やそれに加えて相続税もかかる場合があるため、限定承認を行うかどうかの判断については慎重になった方が良いでしょう。

 

さて、次回は、今回に引き続き限定承認に関するものとして、「限定承認の落とし穴~任意売却」についてお話していこうと思います。

 

それではまた!
 

限定承認の落とし穴~先買権と不動産取得税

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!
名古屋も連日、猛暑が続きますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。


自宅にいても、熱中症になる場合もあり、また、体内の水分がわずかに不足するだけでも、集中力が低下するといわれていますので、みなさんもお気をつけください。


私自身は、毎日2リットルは水分を積極的に摂取するようにしています。

 

さて、本日は、「限定承認の落とし穴~先買権と不動産取得税」についてお話ししようと思います。

 

まず、先買権を行使した結果、自分の法定相続分だけでなく他の相続人の持分も取得した場合、通常の相続とは異なり、不動産取得税が課税される可能性があります

 

そもそも不動産取得税とは、不動産を取得した場合に課税される地方税のことで、原則、固定資産税評価額の4%とされています。


通常の相続の場合、たとえば、父が死亡し、子が不動産を引き継いだ場合などは、不動産取得税はかかりません。

しかし、先買権に基づき、不動産を取得した場合、相続ではありますが、例外的に、他の相続人の持分部分について、不動産取得税がかかります。

 

たとえば、相続人が2人おり、限定承認を行い、一人が先買権を行使し、不動産を取得した場合、名義変更をするためには、各2分の1の相続登記をし、そこから、先買権を行使した人の単独名義にする必要があります。


そのため、このケースの場合、先買権を行使していない相続人が有していた2分1の持分について、不動産取得税が課税されます。

仮に、遺産が2000万円の工場建物の場合、その半分の1000万円について、4%の不動産取得税がかかるため、40万円の不動産取得税を支払う必要があります。

なお、当該40万円については、限定承認の清算中は、基本的に遺産から支出することはできず、相続人自身が負担すべきものとなります。

 

このように、限定承認は、通常の相続とは異なる部分が多くありますので、実際に手続きを行われる場合は、限定承認に詳しい、弁護士、税理士にご相談されることをおすすめします。

 

さて、次回は、「限定承認の落とし穴〜相続税」について、お話ししていこうと思います。

 

それではまた!
 

限定承認の落とし穴~弁済後に残余財産がある場合

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

 

名古屋もだいぶ暑くなり、日中36度を超す日もだんだん多くなってきました。

 

みなさんもくれぐれも熱中症にはお気を付けください。

さて、本日は、前回に引き続き、「限定承認の落とし穴~弁済後に残余財産がある場合」についてお話していこうと思います。

 

まず、限定承認の制度は、法律的に重要な部分が未完成であり、特に今回お話しする残余財産があった場合の処理について、解釈が分かれており、特に注意が必要です。

 

そもそも限定承認を行った場合、遺産を換価し、債権者や受遺者に対し、財産を分配した後、残った財産については、相続人が取得するということになっています。

 

ここで問題点として、将来、新たな債権者が現れた場合、相続人は、その債権者に対しては、いくらを支払う必要があるのかが、法律上明確に規定されていないということです。

 

たとえば、遺産が2000万円あり、限定承認した結果、債権者や受遺者に1000万円を支払い、残り1000万円について、相続人全員で分けることになったとします。

 

それから5年後、被相続人に2000万円を貸していたとする債権者が現れました。

しかし、各相続人は、相続した1000万円を使いきっており、現時点では、相続した財産は残っていません。

この場合、各相続人はいくらを支払えば良いでしょうか。

 

この部分について、法律上明確な規定があるわけでもなく、また、判例もないため、解釈によって、結論が分かれることになります。

 

まず、相続人は、限定承認をしているため、相続人は遺産額である2000万円の範囲で借金を負うことになるため、新たに出てきた債権者に対しては、遺産額2000万円から先に債権者等に支払った1000万円を控除した残りの1000万円の範囲で支払えばよいということになりそうです。

 

もっとも、その解釈だと、相続人は、残余財産がある場合、いつまでも残余財産を残しておく必要があり、相続人は、いつまでも残余財産に手を付けられないということになってしまいます。

 

そうなると、限定承認手続きもいつまでたっても終わらない可能性があるため、ある有力な考え方としては、残余財産が相続人固有の財産と混同した場合(たとえば、遺産分割の結果、相続人の預貯金に残余財産が混じった場合)は、新たな債権者は、混じった財産については、請求できなくなるというものがあります。

この場合、新たな債権者が現れた時点では、残余財産はすでに使い切っており、新たな債権者は相続人に対し、何も請求できなくなってしまいます。

 

しかし、この考え方も、法律上決まったものではなく、今後の法解釈によっては、違う考え方もされる可能性があるため、安心することはできません。

 

そのため、私個人としては、残余財産がある場合は、相続開始日から10年が経過するまでは、残余財産の金額等を明確にし、別で保管するなど、万が一債権者が出た場合に対処するようにしておいた方が良いと考えます。

 

このように、限定承認は、法の不備としか思えないような部分があり、解釈も分かれているため、限定承認を行う場合は、専門家に相談のもと慎重に行った方が良いでしょう。

 

さて、次回は、今回に引き続き、「限定承認の落とし穴~先買権と不動産取得税」についてお話ししようと思います。

 

それではまた!
 

限定承認の落とし穴~競売

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

 

名古屋もだんだん気温が高くなっていますので、熱中症にはお気をつけください。

 

さて、本日は、前回に引き続き限定承認に関して、「限定承認の落とし穴~競売」についてお話ししようと思います。

 

まず、限定承認をした場合で、相続債務を支払うために遺産の換価が必要な場合は、原則として競売をする必要があります。

 

競売の場合、一般的には時価よりも安い価格で買いたたかれる可能性がありますが、万が一、債権者の同意なく、通常の売却方法(任意売却といいます。)で売却してしまうと、債権者から限定承認をした相続人に対し、損害賠償請求をされる可能性があるため、注意が必要です。

 

また、遺産を換価する必要がある場合、遺産に田畑や山林など、競売をしても買主が現れない遺産があったとしても、原則として競売を行う必要があります。

 

競売を行うためには、事前に裁判所に対し、予納金を納める必要があります。


競売の結果、買主が見つかった場合は、売却代金の中から予納金が返金されますが、競売の結果、買主が見つからなかった場合や、安い金額でしか買主が見つからなかった場合は、予納金が戻ってこない場合があります。


予納金の金額は、裁判所ごとによっても、遺産の内容ごとによっても異なりますが、通常は、不動産の利用区分1つにつき50万~100万円前後することが多いです。
そのため、田畑や山林など、買主が現れにくい不動産が多数ある場合は、競売手続きをしてしまうと、数百万円の予納金だけ支払い、不動産は処分できず、予納金も戻って来ないという事態になりかねません。

 

このような事態にならないためには、事前に債権者に山林や田畑に関しては、任意売却を行う旨の同意を得ておくか、もしくは、先買権を利用して不動産を相続人が買い取っておくなどの工夫が必要になる場合もあります。


この部分は、専門家でも知らない方が多いため、限定承認を専門家に依頼する場合は、限定承認に詳しい専門家に依頼した方が良いでしょう。

 

さて、次回は、引き続き限定承認に関して、「限定承認の落とし穴~弁済後に残余財産がある場合」についてお話ししようと思います。

それではまた!

限定承認の落とし穴~先買権

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

 

今回は、前回に引き続き限定承認の注意点として、「限定承認の落とし穴~先買権」についてお話していこうと思います。

 

まず先買権とは何かについてですが、そもそも限定承認では債務の弁済のために遺産を換価する必要がある場合、原則、競売を行う必要があります。

 

もっとも、競売となると相続人としては、取得したい遺産があったとしても取得できない可能性が高くなるため、法律は、相続人の利益にも配慮して、相続人に対し、遺産を優先的に取得する権利である先買権を認めました。
つまり、先買権とは、競売手続きを停止させ、相続人に遺産の優先取得権を認めた制度のことをいいます。

 

この先買権の注意点として、抵当権などの担保権が実行されたことによる競売については、当該担保権者の同意がない限り、先買権を行使しても、担保権の実行を止めることはできません。

 

たとえば、自宅に抵当権が設定されている場合、相続人が自宅を取得しようと考えたとしても、抵当権者が抵当権を実行した場合、相続人は先買権を行使しても、抵当権の実行を止めることはできません。


この場合、相続人としては、抵当権者と交渉して、任意に抵当権の実行を止めるしかありません。

 

そのため、先買権は、取得希望の遺産に担保権が付いている場合、先買権を行使したとしても空振りになる可能性もあり、また、先買権を行使するためには、事前に家庭裁判所に選ばれた鑑定士に鑑定を行ってもらう必要があるため、鑑定費だけ余分に掛かる可能性もあります。

 

また、先買権を行使した結果、遺産を取得したとしても、相続人が一人の場合や法定相続人全員が法定相続分の割合で先買権を行使した場合以外は、法定相続分割合による相続登記を行う必要があります。


この法定相続分割合による相続登記をせず、いきなり先買権を取得した相続人一人の単独名義にしてしまうと、遺産を処分したこととなり、限定承認が無効になる可能性があります。

 

このように、先買権については、遺産に担保権が付いている場合や、登記手続きの際に落とし穴があるため、先買権の行使を検討されている方は、一度、弁護士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

 

さて、次回は、今回に引き続き限定承認についての話題として、「限定承認の落とし穴~競売」についてお話していこうと思います。


それではまた!
 

限定承認の落とし穴~相続人全員での手続き②

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

本日は、前回に関連して、「限定承認の落とし穴~相続人全員での手続き②」についてお話していこうと思います。

 

前回の復習として、限定承認は、相続人全員で行う必要があり、一人でも限定承認に反対している相続人がいる場合、限定承認をすることはできません。

 

そのため、限定承認を行う場合は、事前に相続人間で協議し、3か月の期限内に、家庭裁判所に限定承認の申述を行う必要があります。

 

なお、限定承認の申述する先は、亡くなった方(被相続人)の最後の住所地となり、被相続人の最後の住所地が名古屋市なら、名古屋家庭裁判所に申述する必要があります。

 

このように、限定承認については、相続人全員で行う必要があります。
もっとも、例外的に、すでに相続放棄をしている相続人がいる場合は、相続放棄をした相続人以外の相続人全員で、限定承認を行うこともできます。

 

たとえば、相続人が被相続人の子3人の場合、子の一人が相続放棄をした場合は、残りの子2人だけで限定承認の手続きを行うことができます。

 

この場合、家庭裁判所には、限定承認に必要な書類に加えて、相続人の一人が相続放棄をしたことを示す書類として、相続放棄の申述受理通知書や相続放棄申述受理証明書の提出を求められる場合もあります。

 

また、さきほどの事例で、子が3人とも相続放棄をし、次の相続人が被相続人の兄弟姉妹となる場合、限定承認するためには、兄弟姉妹全員で限定承認の申述を行う必要があります。
 
この場合も、家庭裁判所には、子3人が相続放棄をした事を示す書類として、相続放棄の申述受理通知書や相続放棄申述受理証明書の提出を求められる場合もあります。

 

このように、限定承認を行う場合は、基本的に相続人全員の協力が不可欠であり、例外的に、相続放棄をした相続人がいる場合は、その相続人を除いて限定承認をすることができます。

 

限定承認については、3か月以内に、手続きを行う必要があり、3か月の期限を過ぎてしまうと、限定承認ができなくなる可能性もあるため、期限に間に合わなさそうな場合は、期限の伸長手続きを行うこともできます。
また、限定承認については、限定承認後の手続きも複雑となるため、限定承認をお考えの方は、一度、専門家にご相談されることをおすすめします。

 

さて、次回は、今回に引き続き、「限定承認の落とし穴~先買権」についてお話していこうと思います。

 

それではまた!

限定承認の落とし穴~相続人全員での手続き①

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

 

名古屋もだいぶ春らしい気温になってきました。
季節の変わり目ですので、みなさんもお体にはお気を付けください。

 

さて、本日は、前回に関連して、「限定承認の落とし穴~相続人全員での手続き➀」についてお話いたします。

まず、限定承認は、相続人全員で行う必要があり、相続人のうち、一人でも反対している場合は、限定承認をすることは出来ません。

 

そのため、限定承認を行う場合は、相続人全員の了解を得る必要があります。

 

もっとも、例外的に、相続放棄をした相続人がいる場合や、生死が不明な相続人がいる場合は、相続人全員で限定承認を行う必要はありません。

 

相続放棄をした相続人がいる場合は、その相続人以外の相続人全員で限定承認を行うことになり、生死が不明な相続人がいる場合は、その相続人のために不在者財産管理人を選任し、その管理人が家庭裁判所の許可を得て、他の相続人と共同で限定承認をすることができます。

 

なお、限定承認も3か月の期限があるため、3か月以内に限定承認の申述を家庭裁判所にする必要があります。


この3か月の期限は、相続人ごとに判断し、限定承認の場合は、一部の相続人が3か月の期限を経過していたとしても、他の相続人が3か月の期限内であれば、限定承認を行うことができると考えられています。

 

もっとも、一部の相続人の中に、遺産を処分した者がいる場合は、もはや限定承認はできないと考えられているため、注意が必要です。

 

このように、限定承認については、相続人全員で行う必要があり、また、3か月の期限や、遺産を処分してはならないなどのルールがあります。


また、これらのルールを破ってしまった場合、限定承認が認められなくなる場合があります。

 

そのため、限定承認を行う場合は、事前に限定承認のルールや注意点等を調べたうえで、専門家の指導のもと行うか、もしくは、専門家に依頼してしまった方が安心です。

 

さて、次回は、今回の続きとして、「限定承認の落とし穴~相続人全員での手続き②」についてお話していこうと思います。

 

それではまた!
 

限定承認の落とし穴~譲渡所得税について

カテゴリ: 限定承認

みなさんこんにちは!

名古屋も含め、まだまだ寒い季節が続きますので、みなさんもお体にはお気を付けください。

 

さて、本日は、「限定承認の落とし穴~譲渡所得税について」についてお話していこうと思います。

 

そもそも限定承認とは、簡単にいうと、被相続人の相続について、遺産の限度で負債を取得するという制度です。

 

たとえば、遺産が1億円、負債が2億円ある場合、限定承認を行えば、遺産1億円の範囲で負債を引き継ぐため、結果的に相続する負債は1億円となります。

 

限定承認が行われるケースとして、遺産の額や負債の額が分からないケースや、借金もあるが自宅などを手放したくないケースなどです。

 

もっとも、限定承認は極めてマイナーな手続きであるため、令和2年時点において、相続放棄の件数が23万4732件であるのに対し、限定承認は675件のみとなっています。

 

その要因となっているのは、限定承認の法整備があまり進んでおらず、また、手続きも極めて煩雑であり、また、対応できる専門家がほとんどいないことがその要因と考えられます。

 

また、限定承認には、いくつかの落とし穴もあり、それも限定承認の数が増えていない要因だと考えられます。

 

以下では、限定承認の落とし穴について、まず、譲渡所得税についてお話していきます。

 

通常の相続の場合、被相続人が所有していた不動産を相続したとしても、当該不動産を売却しない限り、相続税がかかることはあっても、譲渡所得税はかかりません。
なぜなら、譲渡所得税は、不動産を売却して得た利益にかかる税金だからです。


しかし、限定承認の場合は、相続であるにも関わらず、不動産を売却しなくとも、譲渡所得税がかかります。


譲渡所得税は、不動産の金額や所有期間によって異なりますが、売却益の約20%に税金がかかる場合があります。


たとえば、不動産の価額が3000万円の場合、限定承認をしてしまうと、不動産の価額の20%の600万円が譲渡所得税として税金を納めなければならなくなる場合があります。
 
仮に、3000万円の不動産と負債が2400万円のみの場合、限定承認を行うと、2400万円の負債に加えて、600万円の譲渡所得税も支払わなければならなくなる場合があります。

 

なお、仮に、負債の額と譲渡所得税の額を合計した金額が遺産の額を超えた場合は、遺産の額に相当する負債(譲渡所得税分を含む。)を支払うことで足り、遺産を超えた額を支払う必要はありません。

 

このように、限定承認については、万が一手続きを行う場合は、譲渡所得税に気を付ける必要があり、手続きを行う際は、限定承認を行った経験のある弁護士や税理士にご相談されることをおすすめします。

 

さて、次回は今回の続きとして、「限定承認の落とし穴~相続人全員での手続き」についてお話していこうと思います。

 

それではまた!
 

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