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「争いを減らす自筆証書遺言の書き方」

カテゴリ: 遺言書の作成

皆さんこんにちは!

 

名古屋もようやく緊急事態宣言が解除されましたね!

また、ワクチン接種が広がったため、感染者数も減少しています。

もっとも、まだまだ感染のリスクがありますので、気を引き締めていきたいところです。

 

さて、本日は、「争いを減らす自筆証書遺言の書き方」について、話していこうと思います。

 

まず、自筆証書遺言を書くうえで大切なこととしては、①抽象的な文言を書かない、②遺言執行者を指定することです。

 

1 ①抽象的な文言を書かない

まず、「全財産を長男にまかせる」という文言だと、長男に全財産が渡らない可能性があります。

 

なぜなら、「まかせる」という文言だけでは、長男に全ての財産を相続させる意思なのか、または、管理だけを任せる意思なのか判然としないためです。

 

また、「自宅の土地を長男に相続させる」という文言だと、自宅の建物は誰が取得するか分からず、争いなる可能性があります。

 

このように、自筆証書遺言において、文言が抽象的な場合は、遺言書の解釈に争いがおこる可能性があるため、できる限り明確に書きましょう。

 

たとえば、相続人のうちの一人に相続させる場合は、「私の全財産を長男(名前と生年月日を記載)に相続させる」と「誰に

」「何を」「相続させる」というように記載します。

 

また、相続人以外に財産を渡す場合は、「私の全財産を従兄弟(名前と生年月日、住所を記載)に遺贈する」と「誰に」「何を」「遺贈する」というように記載します。

 

2 ②遺言執行者を指定する

 

遺言執行者が指定されていない遺言書だと、遺言書の内容がすぐには実現しない可能性があります。

 

たとえば、土地の名義を変える時に、相続人全員の署名、押印が必要になるケースもあります。

 

この場合、相続人のうちの一人が署名、押印を拒んだ場合、裁判所の手続きを行わなければならなくなる場合もあります。

 

そのため、遺言書には、遺言執行者を指定しておいた方が良いでしょう。

 

具体的な記載文言として、たとえば、当法人を遺言執行者として指定する場合だと、

「私は、この遺言書の遺言執行者として、弁護士法人心(愛知県名古屋市中村区椿町14-13 ウエストポイント7F)を指定する」

というように記載します。

 

 

以上のように、自筆証書遺言には、些細な文言の違いや遺言執行者の記載の有無で、争いになる場合があります。

 

そのため、遺言書作成にご不安な方は、一度、作成された文案を専門家に確認いただくことをオススメします。

 

さて、次回は、「遺言執行者の報酬」についてお話していこうと思います。

 

みなさんもお体にはお気を付けください!

それではまた

 

作成日の記載に問題がある遺言

カテゴリ: 遺言書の作成

みなさんこんにちは!

 

名古屋も緊急事態宣言が延長され、まだまだ予断を許さない状態となっています。

 

私自身、ワクチンを2回接種しましたが、ワクチンを接種しても、感染するリスクがあることから、引き続きマスクの着用、手先の消毒等、感染予防対策を行っております。

 

さて、本日は、前回同様、問題になる遺言書として、「作成日の記載に問題がある遺言」についてお話していこうと思います。

 

まず、手書きの遺言書(自筆証書遺言といいます。)の場合、作成日を記載する必要があります。

作成日のない遺言書は、他の要件を満たしていても、無効になります。

 

また、この作成日について、「令和3年9月」とのみ記載し、「日」の記載のない遺言書や、「令和3年9月吉日」や「令和3年正月」と記載された遺言書は、無効になる場合があります。

実際の裁判においても、作成日の特定ができていないものとして、遺言書自体を無効と判断されたものが多々あります。

 

このように、作成日の書き方一つをとっても、失敗が許されないのが遺言書になります。

 

そのため、自筆証書遺言を作成する際は、日付を間違いなく記載し、かつ、「令和○年○月○日」というように、明確な日付を書くようにしましょう。

 

なお、日付は、和暦だけでなく、西暦や「R3.9.15」のように、略して書いても、基本的に問題ありません。

 

また、遺言書作成にご不安な方は、一度、専門家に遺言書の内容に誤りがないかを確認してもらうのも良いかもしれません。

 

さて、次回は、「争いを減らす自筆証書遺言の書き方」についてお話していこうと思います。

 

それではまた!

 

 

手を添えられて作成された遺言書(添え手で作成された遺言書)

カテゴリ: 遺言書の作成

みなさんこんにちは!

 

名古屋も含め、まだまだ暑い日が続きますので、みなさんも熱中症には、十分お気を付けください。

 

さて、本日は、前回に引き続き、問題になる遺言書として、「手を添えられて作成された遺言書(添え手で作成された遺言書)」について、お話ししていこうと思います。

 

まず、結論から申し上げますと、他の人に手を添えてもらって遺言書を作成することは、おすすめしません。

 

なぜなら、添え手によって作成された遺言書は、原則無効と考えられているからです。

 

 

そもそも、自筆証書遺言は、財産目録以外、基本的に一人で書く必要があり、他の人と共同で作成することはできません。

 

また、添え手によって作成された遺言書では、添え手をした人の意思が遺言書の内容に介在する危険性があります。

 

そのため、添え手によって作成された遺言書は、原則、無効であると考えられているのです。

 

もっとも、添え手で作成された遺言書であっても、全て無効というわけではなく、例外的に

 

①遺言者が証書作成時に自書能力を有し、

 

②他人の添え手が、単に始筆若しくは改行にあたり若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、又は遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支え を借りただけであり、

 

③添え手をした他人の意思が介入した形跡のないこと

 

の3つの要件を満たす場合に限り、例外的に、遺言書が有効となると考えられています。

 

このように、添え手によって作成された遺言書が有効になる場合は限定されているのが現状です。

 

実際、添え手による遺言書が有効になったケースは、それほど多くありません。

 

そのため、遺言書を作成される場合は、後々無効になるリスクも考えると、添え手によることは、おすすめできません。

 

万一、手が震えて文字を書くことができないという方であれば、公正証書遺言を作成された方が良いでしょう。

 

公正証書遺言の場合、まったく字が書けない方であっても作成することができますし、また、入院している方であっても、公証人が病院まで来ることも可能です。

 

このように、遺言書の作成には、いくつもの落とし穴があるため、遺言書を作成される際は、一度、専門家にご相談された方が良いでしょう。

 

さて、次回は、引き続き問題になる遺言書として「作成日の記載に問題がある遺言」についてお話していこうと思います。

 

それではまた!

財産の一部しか記載されていない遺言書

カテゴリ: 遺言書の作成

 みなさんこんにちは!

 

 名古屋もようやく緊急事態宣言が解除されました。
 また、予防接種を受ける方も多くなってきましたね。

 

 もっとも、まだまだコロナウイルスの感染が拡大していますので、注意が必要です。

 

 さて、本日は、よくある問題ある遺言書の一つとして、「財産の一部しか記載されていない遺言書」について、お話ししようと思います。

 

 まず、結論から申し上げますと、「財産の一部しか記載されていない遺言書」は、紛争のトラブルになる可能性が高いため、おすすめしません。


 そもそも、財産の一部しか記載されていない遺言書とは、たとえば「自宅のみ長男に相続させる」とだけ一部の財産の分け方のみ記載され、他の預貯金等の財産の分け方については、記載されていない遺言書のことを言います。

 

 この遺言書のように、財産の一部しか記載されていない遺言書だと、他の部分は、相続人全員で協議する必要があります。
 
 この遺言書の場合、他の相続人としては、「自宅は長男がもらうのだから、預貯金はこちらがもらう」といった主張になりやすく、長男としては、「預貯金も多少はもらいたい」という主張になりやすくなります。

 

 そうなってしまうと、相続人間で泥沼の紛争になり、裁判などをした結果、解決までに、3年以上かかる可能性もあります。

 

 このように、財産の一部しか記載されていない遺言書は、のちのちトラブルになる可能性が高いため、他の財産についても、分け方を決めておく方が良いでしょう。

 

 また、特定の相続人に財産を全て渡す際も、「自宅と預金と株を、長男へ相続させる」と記載するのではなく、「自宅と預貯金を含む一切の財産を長男に相続させる」と記載した方が、漏れがなくなります。

 

 そのため、私としては、遺言書を作成される際は、「その他一切の財産について、○○に相続させる」という文書を入れることをおすすめしております。
 こちらをお書きいただくことによって、少しでも相続人間のトラブルを減らすことが可能になるためです。

 

 専門家が携わって作成された遺言書でも、この部分が抜けていることがありますので、注意が必要です。

 

 万一、この部分が欠けている遺言書がありましたら、書き直していただいた方が良いかもしれません。

 

 さて、次回は、今回に引き続き問題になる遺言書として、「手を添えられて作成された遺言書(添え手で作成された遺言書)」について、お話ししようと思います。

 

 それではまた!

遺留分対策③~養子縁組の活用

カテゴリ: 遺留分対策

 みなさんこんにちは!


 名古屋も含めて、緊急事態宣言が続くなか、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

 

 私は、ジムでの筋トレができないため、自宅で筋トレを行っております。

 

 少しでも早く、コロナが終息することを願うばかりです。


 さて、本日は、前回に引き続きまして、遺留分対策に関するお話として、「遺留分対策③~養子縁組の活用」について、お話していこうと思います。

 

1 養子縁組を活用すれば遺留分額を減らすことが可能!

 

 結論から申しますと、養子縁組を活用すれば、遺留分額を大幅に減らすことができます。


 具体的には、相続財産の額にもよりますが、遺留分額を半分にすることも可能になります。

 

 

2 養子縁組を活用した場合の具体例

 

 たとえば、父と長男と長女がいる家庭で、父が長男に全財産を渡すという遺言書を残したケースで考えてみます。

 

 父の財産は、自宅の土地と建物(3000万)、預貯金(1000万)あります。

 

被相続人:父
相続人:長女、長男
父の財産:自宅の土地と建物(3000万)
     預貯金(1000万)

 

 この場合、父が亡くなった後、長女は長男に対して、遺留分侵害として、1000万円を請求することができます。

 

 他方、長男に子が2人おり、父と長男の子(父から見て孫)が養子縁組をした場合、相続人は、長男、長女、孫2人の、合計4人となります。


 そのため、遺留分額は、500万円となります。

 

 このように、養子縁組をし、養子を増やすことによって、遺留分額を大きく下げることが可能になります。

 

 

3 養子縁組をする際の注意点

 

 養子縁組をする場合、養子の数を多くしすぎた場合や純粋に遺留分対策の目的のためだけに養子縁組をする場合は、養子縁組が後々、無効になる可能性があります。


 たとえば、亡くなる直前に5人と養子縁組をした場合などは、養子縁組が無効になる場合があります。
 

 このように、養子縁組については、遺留分対策として、高い効果を発揮する反面、注意点も存在します。


 そのため、遺留分対策で養子縁組を活用する場合は、一度、相続に詳しい専門家にご相談されることをおすすめします。

 

 

 さて、次回は、問題になる遺言として、「財産の一部しか記載されていない遺言書」について、お話していこうと思います。


 それではまた!

 

 遺留分について弁護士にご相談をお考えの方はこちら
  

遺留分対策②~生前贈与の活用

カテゴリ: 遺留分対策

 みなさんこんにちは!

 

 名古屋も含め、全国的にコロナウイルスの感染者が増加しており、まだまだ気が抜けない状況です。

 

 一刻も早く、ワクチンが一人でも多くの方に行き渡ることを願うばかりです。

 

 さて、今回は、前回と関連して、「遺留分対策②~生前贈与の活用」についてお話していこうと思います。

 

 結論から言いますと、遺留分対策をする場合は、できるだけ早い段階から、相続人や他の親族に生前贈与をすることをおすすめします。

 

 理由としては、なるべく早めに生前贈与をしておいた方が、遺留分請求額を大きく減らすことが可能になるためです。

 

 そもそも、遺留分を計算するためには、亡くなった当時の遺産総額に、一定の生前贈与を加え、債務を控除して、遺留分の基礎となる財産額を計算します。

 

 そのため、基本的に遺留分額を減らすためには、遺産総額を減らし、かつ、一定の生前贈与にも当たらないようにする必要があります。

 

 ここで、前回は、保険を活用して、遺産総額を減らすことをご説明しました。

 

 そこで、今回は、生前贈与を使って遺産総額を減らし、かつ、一定の生前贈与にも当たらない方法について、ご説明します。

 

1 生前贈与を全く使わなかった場合

 まず、簡単な事例として、父と子供2人(息子と娘)、財産は、自宅が2000万、預貯金が2000万円という事例を使ってご説明します。


 父の希望としては、娘にすべての財産を渡したく、遺留分対策もしたいとのことでした。


 この場合、父が娘にすべての財産を渡す遺言書を書き、亡くなった場合、息子は娘に対して、遺留分として、1000万円を請求することができます。


計算式としては、遺産総額4000万円の4分の1が遺留分額となります。

 

【家族構成】
 父、息子、娘
【相続財産】
 自宅(2000万円)
 預貯金(2000万円)
【遺留分額】
 1000万円

 

2 生前贈与を活用した場合

 この場合、生前贈与を活用することによって、遺留分額を大幅に減額できる可能性があります。


 たとえば、父が娘に自宅を贈与し、その11年後に、父が亡くなったとします。

 

 この場合、基本的に11年前の自宅の贈与は、遺留分の計算の対象外(「一定の生前贈与」には当たらない)となり、遺留分額は、500万円となります。

 

【家族構成】
父、息子、娘
【相続財産】
自宅(2000万円)
→11年前に娘に贈与
預貯金(2000万円)
【遺留分額】
500万円

 

3 遺留分の計算の対象外となる生前贈与とは

 このように、生前贈与を活用することによって、遺留分額を大きく減らすことが可能です。

 

 ここで、遺留分の計算の対象外(「一定の生前贈与」に当たらない)となる生前贈与について、ご説明します。

 

 基本的に、相続人に対する10年以上前の贈与相続人以外の者に対する1年以上前の贈与は、遺留分の計算の対象外となります。

 

 そのため、先ほどの事例でいうと、たとえば、自宅を娘ではなく、娘の子供(孫)に贈与した場合、基本的に、その贈与が父の亡くなる1年以上前だと、遺留分の計算の対象外となります。

 

 もっとも、注意点として、たとえば、父が亡くなる11年前に当時の全財産を贈与してしまった場合は、例外的に遺留分の計算の対象となる場合があります。


 また、このことは、相続人以外への贈与についても同じです。

 

 そのため、生前贈与に関しても、やりすぎてしまった場合は、遺留分対策として効果が生じない可能性がありますので、遺留分対策として、生前贈与を行う場合は、一度、専門家にご相談されることをおすすめします。

 

 これまでのお話をまとめますと、基本的に、10年以上前の相続人への生前贈与と、1年以上前の相続人以外の人への生前贈与は、遺留分の計算の対象外となります。


 もっとも、生前贈与の額によって、遺留分の計算の対象となる場合もあるため、注意が必要です。

 

 そのため、遺留分対策として、生前贈与を活用される場合は、できるだけ早い段階から、相続人や相続人以外の人に生前贈与を行っておくことをおすすめします。

 

 さて、次回は、今回と関連して、「遺留分対策③~養子縁組の活用」についてご説明していこうと思います。

 

 それではまた!


 

遺留分対策①~保険の活用

カテゴリ: 遺留分対策

 みなさんこんにちは!
 
 名古屋も含め、全国で緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ感染者は増加傾向にあるため、油断ができない状態です。


 当法人では、引き続き、コロナ対策として、従業員のマスク着用の徹底、出勤時の検温チェック、定期的な空気の入れ替え等を行っております。


 また、電話やメールでのご相談やビデオ通話でのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

 

さて、本日は、遺言書を作成するうえで、切っても切り離せない課題として、「遺留分対策①~保険の活用」と題して、お話していこうと思います。

 

 そもそも遺留分とは、簡単に言うと、相続人に保証されている最低限度の相続の権利のことをいい、たとえ、遺言書で何も財産を渡さないと記載されていても、遺留分は認められます。
 
 この遺留分は、しっかり対策をしておかないと、財産を渡された相続人にとって大変なことになるかもしれません。
 
 なぜなら、遺留分はお金で支払わなければならず、お金が支払えない場合は、遺産を売るか、借金をしてでも払わなければならないためです。

 

 例えば、父と長男、長女の家庭で、遺産について、預貯金500万円と自宅(父と長男家族が同居していた、価値は3500万)のみのケースで、父が長男に全財産を渡す遺言書を作成した場合について考えてみます。

 

家族構成   父 長男 長女

遺産     預貯金500万

       自宅(3500万)

遺言書の内容 長男にすべてを相続させる

 

 

 この場合、長女は、長男に対して、遺留分侵害として、遺産の4分の1に当たる1000万円を請求することができます。
 
 長男としては、遺産の500万円だけでは、請求額に満たないため、長男の手持ちの財産から残り500万円を支出するか、自宅を売るなどしてでも、500万円を返さなければなりません。

 

 こうなってしまうと、長男としては、遺言書で財産はもらったが、自宅を手放さなくてはならなくなるかもしれず、非常に困った事態になります。

 

そのため、遺言書を作成する場合は、遺留分も考慮して、ご生前中からしっかり、遺留分対策を行う必要があります。

 

 さて、前置きが長くなりましたが、具体的な遺留分対策としては、まず、生命保険を活用することが考えられます。


 具体的には、預貯金を生命保険に変え、生命保険の受取人を、遺産を受け取る相続人の一人にしておくことが考えられます。

 

 生命保険は、原則、遺産の対象になりませんので、預貯金を生命保険に変えることで、遺留分の額を減らすことができます。

 

 先ほどの家庭(父と長男、長女、遺産は預貯金500万円と自宅(3500万円)で、預貯金を生命保険に変えた場合について、検討します。

 

家族構成   父 長男 長女

遺産     預貯金500万

       自宅(3500万)

遺言書の内容 長男にすべてを相続させる

 

 遺産の総額は、3500万円となり、遺留分は、その4分の1の875万円となります。

 

 このように、預貯金を保険に変えるだけで、遺留分の額を125万円減額することが可能です。

 

 そのため、遺留分対策をする場合は、預貯金を生命保険に変えることが有効となります。

 

 もっとも、ここで気を付けていただきたい点として、生命保険金の額が遺産に比して著しく多い場合は、例外的に生命保険金が遺留分の対象に含まれる場合があります。

 

 たとえば、遺産が2000万円の家庭で、生命保険金が2000万円の場合、生命保険金も遺留分の対象になる可能性があります。

 

そのため、遺留分対策として保険を活用する場合は、一度、弁護士等の専門家にご相談することをおすすめします。

 

 以上のように、遺留分対策として、生命保険の活用は非常に有用でありますが、使い方を間違えてしまうと、遺留分対策にならない場合もあるため、注意が必要です。

 

さて、来月のテーマは、遺留分対策のパート②として「遺留分対策②~生前贈与の活用」についてお話していこうと思います。

 

 

それではまた!

公正証書遺言の作成までの流れ

カテゴリ: 遺言書の作成

 みなさんこんにちは!

 

 名古屋も2月28日で緊急事態宣言が解除されました。

 

 もっとも、まだまだ全国的に感染者数が多いため、あまり気を緩まない状態が続いております。


 当法人でも、引き続き、手先の消毒、定期的な換気等のコロナ対策を徹底しております。

 

 さて、本日は、「公正証書遺言の作成までの流れ」について、ご紹介します。

 

 まず、公正証書遺言書作成の一般な流れとしては、以下のようになります。

 

①遺言を作成される方(遺言者といいます)の戸籍謄本等の必要書類を集めます


②公証役場に遺言書を作成したい旨の相談をします


③公証役場に必要書類を提出し、公証人と遺言書の内容の打ち合わせを行います


④遺言書の案が決まりましたら、実際に遺言書を作る日を決めます


⑤実際に遺言書を作成します

 

 なお、専門家に遺言書作成を依頼した場合は、必要書類の収集や公証人との遺言書案の調整等は、その専門家が行ってくれます。

 以下では、それぞれの手続きについて、簡単にご説明します。

 

1 必要書類の収集

 まず、公正証書遺言を作成する場合は、遺言者の戸籍謄本、印鑑登録証明書、遺産を渡す相続人の戸籍謄本、相続人以外に渡す場合は、その人の住民票が必要になります。


 また、財産の内容次第では、土地や建物の登記事項証明書、通帳のコピー、株の残高証明書等が必要になります。

 

2 公証役場へ連絡

 必要書類が集まりましたら、公証役場に連絡し、遺言書を作成したい旨を電話かメール等で伝えます。


 実際に公証役場に行って、相談をすることが可能な場合もありますので、詳しくは、お近くの公証役場にお問い合わせください。

 

3 公証人との遺言書の内容の打ち合わせ

 必要書類を公証役場に提出しましたら、どのような内容の遺言書にするのか公証人と打ち合わせを行います。


 たとえば、長男に財産を渡したい場合は、その旨を公証人に伝えていただければ、公証人が法的文言に変えてくれます。


 また、遺言書に残したいお気持ちの部分についても、公証人に伝えれば、記載してくれる場合もあります。

 

4 実際の遺言書作成日を決める

 遺言書の案が決まりましたら、公証人と実際に遺言書を作る日を決めます。


 当日は、実印印鑑登録証明書公証役場に支払う手数料が必要になります。


 公証役場に支払う手数料は、事前に、公証人から連絡があります。


 なお、公正証書遺言の場合、遺言書作成には、証人が2人必要です。


 遺言者が証人2人を集めることができない場合、公証役場に相談していただければ、公証役場の方で証人の手配をしてくれます。

 

5 実際に遺言書を作成する

 公証役場で遺言書を作成する場合の、作成日当日の具体的な流れとしては、まず、公証役場の受付で印鑑登録証明書と実印を提出します。


 その後、印鑑登録証明書に押されている印鑑と実印が同じものであれば、受付での手続きは終了です。


 次に、公証人のいる部屋に行き、そこで実際に遺言書を作成していきます。

 まず、遺言書を作成する方が、公証人に対して、どういった内容の遺言書を作りたいかを伝えます。
 その後、公証人が、事前に作っておいた遺言書の内容を読み上げます。
 最後に、内容等に誤りがなければ、遺言者、証人、公証人が署名、押印し、遺言書が完成します。


 完成した遺言書は、正本と謄本2通渡されますので、大切に保管しましょう。

 

 このように、公正証書遺言の場合は、遺言書の作成に公証人が携わるため、手書きの遺言書のような失敗が少なく、安心です。

 

 私自身も、自筆証書遺言よりも公正証書遺言の方が、遺言書自体が無効になるリスクが少ないため、おすすめしています。

 

 なお、余談ですが、公証人はあくまで、法的に正しい内容の遺言書を作成しますので、税金や遺留分の事は、ほとんど考慮してくれません。

 

 そのため、相続税等の税金や遺留分のことも含めた内容の遺言書を作成したい場合は、相続に強い専門家にご相談されることをおすすめします。

 

 さて、次回は、遺言書を作成するうえで外せない話題として、「遺留分対策①~保険の活用」について、ご説明します。

 

 それではまた!
 

弁護士が教える自筆証書遺言保管制度

カテゴリ: 遺言書の作成

 みなさんこんにちは!

 

 2月の中旬になり、名古屋もだいぶ暖かくなってきました。

 

 季節の変わり目ですので、みなさんも体調にお気をつけてお越しください。 

 

さて、本日は、「弁護士が教える自筆証書遺言保管制度」と題して、遺言書の保管制度について、ご説明します。

 

 みなさんの中には、この制度のことがきいたことのある人もいらっしゃるかもしれません。

 また、すでに利用してみたという人もいらっしゃるでしょう。

 

 この自筆証書遺言保管制度というのは、簡単にいうと、「手書きの遺言書を法務局が保管してくれる」という制度です。

 

 この自筆証書遺言保管制度の最大のメリットは、法務局に遺言書を預けるため、遺言書の紛失や相続人による改ざんの心配がないところにあります。

 

 実際、遺言書を紛失してしまい、相続人が遺産の分け方でもめてしまったケースや遺言書が改ざんされてしまったケースなども多々存在します。

 

 そのため、最近は、多くの方がこの制度を利用するようになりました。

 

 他方、デメリットとしては、直接、本人が法務局に遺言書を提出しないといけないことです。

 

 そのため、忙しい方や、ご体調の関係で法務局へ行くことができない方は、この制度を利用することができません。

 

 また、この制度では、法務局が遺言書の内容まで審査してくれないため、遺言書の内容に問題があったとしても、そのままとなることもデメリットとしてあげられます。

 

 なお、現在は、約半年間の間で、約14000件の遺言書の保管申請がありました。

 

 次に、この制度を利用して、遺言書を保管してもらうまでの流れとしては、以下の①~⑦のようになります。

 

①遺言書を作成します

 遺言書を作成する用紙は、A4サイズである必要があり、また、余白部分を設ける必要があります。

 さらに、財産目録以外の全文及び日付を自書し、署名、押印をする必要があります。

 その他、詳しい注意事項がありますので、詳しくは、法務省のホームページをご確認いただくか、専門家にお尋ねください。

 

②遺言書をは関する場所を決めます

 保管場所としては、遺言書を書いた本人の住所地か、本籍地、又は、所有している不動産(土地や建物)の所在地のいずれかを管轄している遺言書の保管所(法務局)となります。

遺言書の保管所(法務局)については、法務省のホームページで確認することができます。

たとえば、名古屋市にお住いの方でしたら、名古屋法務局に遺言書を預けることができます。

 

③申請書を作成する

 書式は法務省のホームページからダウンロードが可能です。

 もしくは、法務局の窓口に申請書が備え付けられているため、そちらで直接お書きいただいても問題ありません。

 

④保管の申請の予約をする

 この遺言書保管制度を利用する場合は、必ず予約が必要です。

 予約の方法としては、直接、遺言書を保管する法務局に連絡していただくか、法務省のホームページに、予約専用サイトがありますので、そちらから予約していただくことも可能です。

 

⑤保管の申請をする

 保管の申請の際には、以下の書類を持参したうえで、遺言書を作成された方が、遺言書保管所に行く必要があります。

 ア 遺言書(ホッチキスでとめず、封筒も不要です)

 イ 申請書

 ウ 添付書類として、本籍地の記載のある住民票

 エ 本人確認書類(マイナンバーカード等)

 オ 手数料として、遺言書1通につき、3900円(収入印紙を購入する必要があります)

 

⑥ 実際に遺言書保管の手続きを行う

 

⑦ 遺言書保管証を受け取る

 手続きが完了しましたら、遺言書を作成された方の氏名、生年月日、遺言書保管所の名称、保管番号が記載された保管証が渡されます。

 この保管証は、遺言書の閲覧、保管の申請の撤回等の際に必要になりますので、大切に保管してください。

 

 このように遺言書の保管制度自体は、それほど複雑な手続きではないため、今後ますます利用されることが予想されます。

 

 もっとも、この制度のデメリットの部分でご説明したとおり、遺言書の内容はチェックされません。

 

 そのため、遺言書の内容に法的に問題がないのか、相続税で損をしないか等については、別途、専門家にご相談する必要があります。

 当法人では、遺言書に関して、無料相談を行っておりますので、ご質問だけでも大丈夫ですので、ご不明な点等がありましたら、いつでもご連絡ください。

 

 さて、次回は「公正証書遺言の作成までの流れ」についてご説明させていただこうと思います。

 

それではまた!

手書きの遺言書の要件

カテゴリ: 遺言書の作成

 みなさま、新年あけましておめでとうございます。
 今年もどうぞよろしくお願いします。

 まだまだ、コロナ等で大変な時期ではございますが、どうぞお体ご自愛下さい。

 

 さて、本日は、「手書きの遺言書の要件」について、詳しくご説明させていただこうと思います。

 

 結論として、手書きの遺言書(「自筆証書遺言」といいます)を作成する際について、絶対に気を付けていただきたい点は、以下の3つです。

 

  ① 形式的要件を全て満たす
  ② 抽象的な内容の遺言書を書かない
  ③ 遺言執行者を指定する

 

 それぞれについて、詳しくご説明します。

 

⑴ ① 形式的要件を全て満たす

 

 まず、形式的要件とは、
  (ア) 遺産目録を除く、全文及び日付を自書する
  (イ) 署名・押印する
 のことを言います。

 

 この2つの要件のうち、どれか一つでも要件が欠けてしまうと遺言書自体が無効になるため、注意が必要です。
  
 なお、法律が変わり、遺産目録のみ、パソコンで作成することができます。
 パソコンで作成した場合は、必ず、署名と押印を忘れないようにしましょう。 

 

⑵ ② 抽象的な内容の遺言書を書かない

 

 遺言の内容が抽象的であると、相続人間でトラブルになってしまったり、遺言書の内容の一部が無効になってしまったりする場合があります。


 たとえば、「長男に全財産をまかせる」や「長男に全財産を一任する」とした場合、遺言書の内容が、長男に全財産を相続させるのか、管理等を任せるだけなのか分からず、遺言書の内容として無効となる可能性があります。


 また、「自宅を長男に相続させる」とした場合、自宅が建っている土地は相続させるのか不明であり、相続人間でトラブルになってしまう可能性があります。


 そのため、長男にすべての財産を渡したい場合は、「長男にすべての財産を相続させる」とし、自宅と土地を渡したい場合は、「○○県○○市○○町〇―○○にある自宅と土地を長男に相続させる」と明確に記載するようにしましょう。

 

⑶ ③ 遺言執行者を指定する

 

 遺言執行者を選任していないと、相続人全員の印鑑登録証明書がないと、預貯金の名義変更や不動産手続きができない場合があります。


 たとえば、相続人である長男と長女の仲が悪かった場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人一人だけでは、預貯金の解約ができなくなってしまうおそれがあります。


 その場合、預貯金の解約を行うためには、裁判所での手続きを行って、遺言執行者を選任してもらう必要になるかもしれません。


 このように、相続が開始した時に、相続人が困らないようにするためにも、遺言執行者を事前に指定しておいた方が良いでしょう


 なお、遺言執行者は、相続人だけでなく、専門家も指定することができます。

 遺言執行者の指定の書き方は、「遺言執行者として、●●を指定する」と記載すれば大丈夫です。

 

このように、手書きの遺言書を作成する際は、
  ① 形式的要件を全て満たす
  ② 抽象的な内容の遺言書を書かない
  ③ 遺言執行者を指定する

を守るようにしましょう。

 

 万一、遺言書の書き方で迷った場合は、無料相談を行っている専門家に一度、ご相談されることをおすすめします。

 

 私自身、亡くなった方が遺言書を作成しなかったがために、相続人が相続で大変な目にあった事例を100件以上見てきました。
 そのため、一人でも多くの人に遺言書を作成していただければと強く願っております。

 

 さて、次回は、「弁護士が教える自筆証書遺言保管制度」と題して、最近新設された自筆証書遺言保管制度についてご説明させていただきます。

 

 それではまた!

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