遺言における予備的条項の必要性

遺言書の作成

みなさんこんにちは!
名古屋もだんだん暑くなってきました。
体を崩しやすい季節ですので、みなさんもお体にはお気を付けください。

 

さて、本日は、「遺言における予備的条項の必要性」についてお話ししようと思います。

 

結論から申し上げますと、私としては、基本的に「予備的条項は必須」と考えています。

そもそも、予備的条項とは、遺言で財産を渡す人が遺言書を作成した人(遺言者)より先に亡くなった場合などに備えて、予備的に次に財産を渡す人を決めておくことなどを内容とする条項のことを言います。

 

たとえば、「遺産すべてを長男に相続させる。」と書かれた遺言がある場合に、「長男が遺言者の死亡以前に死亡した場合、全ての財産を長男の子(遺言者より先に亡くなった子を除く)に均等割合で相続させる。」とするような内容です。

 

仮に、予備的条項が無かった場合で、長男が遺言者より先に亡くなっている場合、基本的に、長男に相続させるとした遺言の効果は無効になります。


その結果、仮に、遺言者の気持ちとしては、長男の子らに渡したいと考えていたとしても、長男の子に長男に渡そうと思った財産全てを渡せない可能性があります。

 

実際、予備的条項が無かったためにトラブルになった事案はたくさんあります。
予備的条項がない遺言というのは、手書きで作成された遺言書(公正証書遺言)に限らず、公証役場で作成された遺言(公正証書遺言)や司法書士や弁護士が作成に携わった遺言でも、予備的条項が記載されていないことがあります。

そのため、「予備的条項は基本的に必要」ということは、遺言者自身が知っておく知識となります。

 

また、遺言執行者の選任においても予備的条項が無い遺言書もあります。
仮に、遺言執行者が遺言者より先に亡くなった場合、予備的条項が無い限り、遺言執行者がいないことになり、場合によっては、裁判所に新たな遺言執行者を選任してもらったり、相続人全員の同意のもと手続きを進めたりする必要が出てきてしまいます。

 

そうなると、せっかく遺言書を作成したにも関わらず、相続開始後、相続人の手間が増えたり、場合によっては、遺言書が原因で、相続人間でトラブルになってしまったりしてしまいます。

 

そうならないためにも、遺言書を作成する場合は、予備的条項を入れるようにすることを強くおすすめします。

 

さて、次回は、「複数の遺言がある場合」についてお話していこうと思います。
それではまた!

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