遺留分対策②~生前贈与の活用

カテゴリ: 遺留分対策

 みなさんこんにちは!

 

 名古屋も含め、全国的にコロナウイルスの感染者が増加しており、まだまだ気が抜けない状況です。

 

 一刻も早く、ワクチンが一人でも多くの方に行き渡ることを願うばかりです。

 

 さて、今回は、前回と関連して、「遺留分対策②~生前贈与の活用」についてお話していこうと思います。

 

 結論から言いますと、遺留分対策をする場合は、できるだけ早い段階から、相続人や他の親族に生前贈与をすることをおすすめします。

 

 理由としては、なるべく早めに生前贈与をしておいた方が、遺留分請求額を大きく減らすことが可能になるためです。

 

 そもそも、遺留分を計算するためには、亡くなった当時の遺産総額に、一定の生前贈与を加え、債務を控除して、遺留分の基礎となる財産額を計算します。

 

 そのため、基本的に遺留分額を減らすためには、遺産総額を減らし、かつ、一定の生前贈与にも当たらないようにする必要があります。

 

 ここで、前回は、保険を活用して、遺産総額を減らすことをご説明しました。

 

 そこで、今回は、生前贈与を使って遺産総額を減らし、かつ、一定の生前贈与にも当たらない方法について、ご説明します。

 

1 生前贈与を全く使わなかった場合

 まず、簡単な事例として、父と子供2人(息子と娘)、財産は、自宅が2000万、預貯金が2000万円という事例を使ってご説明します。


 父の希望としては、娘にすべての財産を渡したく、遺留分対策もしたいとのことでした。


 この場合、父が娘にすべての財産を渡す遺言書を書き、亡くなった場合、息子は娘に対して、遺留分として、1000万円を請求することができます。


計算式としては、遺産総額4000万円の4分の1が遺留分額となります。

 

【家族構成】
 父、息子、娘
【相続財産】
 自宅(2000万円)
 預貯金(2000万円)
【遺留分額】
 1000万円

 

2 生前贈与を活用した場合

 この場合、生前贈与を活用することによって、遺留分額を大幅に減額できる可能性があります。


 たとえば、父が娘に自宅を贈与し、その11年後に、父が亡くなったとします。

 

 この場合、基本的に11年前の自宅の贈与は、遺留分の計算の対象外(「一定の生前贈与」には当たらない)となり、遺留分額は、500万円となります。

 

【家族構成】
父、息子、娘
【相続財産】
自宅(2000万円)
→11年前に娘に贈与
預貯金(2000万円)
【遺留分額】
500万円

 

3 遺留分の計算の対象外となる生前贈与とは

 このように、生前贈与を活用することによって、遺留分額を大きく減らすことが可能です。

 

 ここで、遺留分の計算の対象外(「一定の生前贈与」に当たらない)となる生前贈与について、ご説明します。

 

 基本的に、相続人に対する10年以上前の贈与相続人以外の者に対する1年以上前の贈与は、遺留分の計算の対象外となります。

 

 そのため、先ほどの事例でいうと、たとえば、自宅を娘ではなく、娘の子供(孫)に贈与した場合、基本的に、その贈与が父の亡くなる1年以上前だと、遺留分の計算の対象外となります。

 

 もっとも、注意点として、たとえば、父が亡くなる11年前に当時の全財産を贈与してしまった場合は、例外的に遺留分の計算の対象となる場合があります。


 また、このことは、相続人以外への贈与についても同じです。

 

 そのため、生前贈与に関しても、やりすぎてしまった場合は、遺留分対策として効果が生じない可能性がありますので、遺留分対策として、生前贈与を行う場合は、一度、専門家にご相談されることをおすすめします。

 

 これまでのお話をまとめますと、基本的に、10年以上前の相続人への生前贈与と、1年以上前の相続人以外の人への生前贈与は、遺留分の計算の対象外となります。


 もっとも、生前贈与の額によって、遺留分の計算の対象となる場合もあるため、注意が必要です。

 

 そのため、遺留分対策として、生前贈与を活用される場合は、できるだけ早い段階から、相続人や相続人以外の人に生前贈与を行っておくことをおすすめします。

 

 さて、次回は、今回と関連して、「遺留分対策③~養子縁組の活用」についてご説明していこうと思います。

 

 それではまた!


 

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