実際に問題となった遺言~認知症の時に書いた遺言~

カテゴリ: 遺言書の作成

みなさんこんにちは!

いかがお過ごしでしょうか。

 

名古屋でも朝夕は,だいぶ涼しくなってきましたので,みなさんもお体には,お気を付けください。

 

さて,本日は,前回に引き続き,遺言書の失敗例として「実際に問題となった遺言~認知症の時に書いた遺言~」についてお話していこうと思います。

 

  事例 

⑴ 家族関係

 家族構成は,父Aと亡母,長女Bと長男Cです。

 父Aは,5年前からだんだん物忘れが多くなり,2年前に施設に入りました。

 父Aは,難しい話は理解することができませんでしたが,日常会話程度のことは,意思疎通が可能でした。

 長女Bは,よく父Aの様子を見に来ますが,長男Cは,以前から父Aとは折り合いが悪かったため,父Aのところには,ほとんど顔を出しませんでした。

 

⑵ 遺言書の作成

 父Aは,自分が亡くなった後の事が心配になり,「長女Cに全財産を渡す」という内容の公正証書遺言を作成しました。

 なお,公正証書遺言とは,元裁判官や元検察官である公証人が作成に携わる遺言のことです。

 

⑶ 突然の裁判

 父Aが亡くなった後,長女Bと長男Cは,相続のことについて話合いをしました。

 長女Bとしては,父の遺言書があるため,「遺産は遺言書のとおりに分けよう」と伝えました。

 しかし,長男Cは,これに猛反対し,「今回作られた遺言は,認知症の時に書かれたものであるから無効だ」とし,弁護士を付けて裁判で争ってきました。

 最終的に,裁判では,遺言書は有効だという結論になりましたが,解決まで相当な年月がかかりました。

 

2 解説

 このように,認知症の時に書かれた遺言については,後日,遺言書は無効だとして,裁判を起こされる場合があります。

 

 また,今回の事例とは異なり,認知症の時に書いた遺言が無効になったケースも存在します

 

 もちろん,認知症の時に書かれた遺言書の全てが無効になるわけではありません。

 

 しかし,認知症の時に書かれた遺言書は争いの種になる可能性は十分あります。

 

 そのため,転ばぬ先の杖として,遺言書を作成する際は,できる限り早い段階で,かつ,専門家を入れて作成することをおすすめします。

 

 また,現在,認知症かもしれないが,遺言書を作成したいという場合は,なるべくお早めに弁護士などの専門家にご相談することをおすすめします。

  

 さて,次回は,よくあるご質問への回答として,「専門家に遺言書の作成を依頼した場合にかかる費用」についてお話していこうと思います。

 

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